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こんばんは、ことりです。しれっと不定期更新になってんじゃないよって感じですが、ゆるっと許してください。5月は本が1冊しか読めず、さらに買った本も無かった(!)ので、ここ1年でいちばん読書から離れた月でした。かといって何をしていたわけではないのだけれど。だけど、今月はすでに4冊も読んだので今日はその話を。

愛ゆえに、人は。『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』本屋大賞受賞&二年連続ノミネートの著者が描く、家族の物語。すみれ荘のその後を描く「表面張力」を収録した完全版。下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。

『滅びの前のシャングリラ』がそこまでハマらなかったので、どうかな〜と思いながら買ったのだけど一気読みでした。最近、人の多面性について書いた作品って多いよなと思うけど、結局同じ人なんていないし、作者が人をどう見ているのかが分かるような気がします。PMSで性格が変わること、SNSで切り取りたい部分、裏アカでなら言えること。現代社会あるあるもありつつ、愛してるが故に渦巻く感情の落とし所、許すことと許されること。他人のことを思いやりたいのに自分でいっぱいいっぱいになって、それでも生きているし生きていかなきゃいけないジレンマ。優しさは時に人を駄目にすることもある。色々な考えを巡らせながら読了しました。

この世界を生きる唯一の「きみ」へ――人生のためのヒントが見つかる、39通のあたたかなメッセージ。傑作エッセイが待望の文庫化! 解説 谷川俊太郎人生は、「やめたこと」「やめざるをえなかったこと」「わすれてしまったこと」で出来ている。そうして結局、己のなかにのこったものは? 今の自分にのこったものから、あらゆることがはじまるのならば――。この本のページを開いた読者=「きみ」へと詩人はまっすぐ語りだす。贈られるのは39通の「手紙」たち。体温を帯びた言葉のすべてに胸が震える、珠玉のエッセイ集。

もっと味わいながら読むつもりだったけど、思いのほかサラサラと読み終えてしまいました。ちょっと読むの今じゃ無かったかも。長田弘は『読書からはじまる』も積んでいるので、こちらは時期を考えて読もうと思いました。

のページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない――不穏な文章から始まる手記が導く先は、狂気か救済か。

暗くて難しいのになぜか一気読みしてしまう中村文則作品。今回も大混乱しながらも惹きつけて離してくれなかったのでした。彼の作品は全作品に共通するテーマというか、伝えたい思いがあるはずで、今のところ『何もかも憂鬱な夜に』しか読んでないので分からないのだけど。この暗く悪しく醜いどうしようもないクソみたいな世界で、それでも生きていきましょうと同じ暗闇にいてくれるような作家だと感じます。光を当てるのでも、手を引くのでもなく、ただそこで一緒に落ちてくれる人。きっと救われる人がたくさんいるでしょう。

選考会で異例の満場一致! 第127回文學界新人賞受賞作松井まどか、高校2年生。うみちゃんと付き合って3か月。体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。――「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。優しさと気遣いの定型句に苛立ち、肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。

話題だったので買ったものの読まないまま次号が出てしまい、焦って読んだ『N/A』なるほど今っぽいなというのが率直な感想。こういう‘普通’になれない、なりたくない人の話を読むと、いかに自分とその周りが‘普通’に幸せに暮らしましたとさ、なのかが分かります。性について誰かに相談されたり、この人って??と思ったりしたことすらもなく、それは私がマジョリティとして無神経に生きているからだとしても、それすらもマジョリティだからもうどうしようもないことです。どうしようもないと諦めてはいけないと思いつつ、‘理解する’だなんて烏滸がましい話で、私のスタンスとしては‘なんとも思わない’でいこうと決めています。
このあと読もうと思っているのは、宇佐見りん『くるまの娘』、村田沙耶香『信仰』、ブリット・ベネット『ひとりの双子』といったところでしょうか。ちょこちょこTLで見かける石田千・牧野伊三夫『月金帳』も気になって図書館で借りてきたところ。読めるうちに読んでおきたいと思いつつ、ピタッと読めなくなるものなので、ゆるりと、「本?ああ、読んでも構わないけど?」くらいのスタンスで構えていようと思います。
関東は梅雨入りが発表されました。ぜんぶ雨のせいにしていきましょう。それではまた。
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